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学生映画に一石を投じる!21歳が作ったミステリー『傀儡』

監督の松本千晶
監督の松本千晶

 6月16日から公開されている映画『傀儡』(かいらい)。2年前に製作され、当時21歳で武蔵野美術大学の4年生だった松本千晶が卒業制作として監督と脚本を務めた作品だ。メガホンを取った松本監督と、主演を務めた木口健太、共演の石崎なつみの3人が撮影当時について振り返った。

【動画】映画『傀儡』予告編

 予告編の動画再生回数が100万回を突破し、第38回ぴあフィルムフェスティバルで入選、アジア国際青少年映画祭でシナリオ賞を獲得した本作。現在、映像制作会社で働く松本監督は、「当時は学生で、偏見かもしれませんが『学生が作るものは技術が足りなくても自身の内面の爆発を描けばいい』といった風潮だったと思います。でも、それは作り手のエゴだと感じていて、作り手が学生とか関係なく映画として劇場で観れるものを作りたかったんです」と明かした。

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 物語は、記者の藤真(木口)が、高校時代に亡くなった恋人の未解決事件の取材のため地元に戻り、真実を探し求めるミステリー。事件当時、容疑者だった男・志田(二階堂智)は、亡くなった恋人の母(烏丸せつこ)と妹(石崎)と一緒に暮らしていた。そのことにショックを受けた藤真は精神が不安定になり、夢と現実の境目が分からなくなっていく。タイトルにもなった『傀儡』は「操り人形」といった意味があり、松本監督は、「登場人物も観ている人もすべて、操られているような気分になる映画にしたかった」と語った。

 『おんなのこきらい』『ずぶぬれて犬ころ』(2018年公開予定)などに出演している主演の木口は、脚本を読んで「21歳が書くような話じゃない。彼(松本監督)に何かあったのかと気になりました。学生が撮るものだと思い込んでいましたが、作りたいという熱量がすごかった」と振り返った。7月からスタートするドラマ「チア☆ダン」に出演する石崎も、「監督と同い年とは思えませんでした。よくこんな物語が思いつくなと感動したのを覚えています」と話した。

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主演の木口健太

 本作は、長崎県の大村で、町の全面協力の下、12日間にわたって撮影が行われた。映画の冒頭、バス停から山奥のダムまでの景色をドローンで撮影したシーンがあり、「学生映画」とは思えない壮大なスケールを予感させる。主演の木口も、「この作品は自分で決まる。自分次第でどうにでもなる」と感じたといい、松本監督と脚本を何度も練り、1か月前から藤真になりきるために減量。撮影期間中、合計12キロ体重が減ったことを明かした。

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 映画が完成した当時、松本監督は同作をさまざまな学生映画祭に出品したというが、「正直、もっと賞を獲れると思っていた」と心境を吐露した。主演の木口も、「(映画祭で)『学生映画じゃない』と言われました。商業映画と同じところに立とうとしていると。それに対して、意見とか、僕たちは口下手だからうまく説明できなくて、審査員の方々には作品について勘違いされたのかも(笑)」と思い返した。そんな作品がついに劇場公開を迎えることに、石崎は「映画の楽しさを知った作品なので、素直に嬉しい」と笑顔を見せた。

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石崎なつみ

 同作について木口は、「『傀儡』は、お客さんが救われる作品じゃなくて、作品に興味をもってもらうことで僕たちが救われるんじゃないかな。パズルだったら、この作品はピースが欠けている。欠けたピースをそれぞれの感じ方で埋めていくような感覚なのかな」と答えた。「お客さんが何か感じる、考えることがあれば、それを大切にしてほしい」と3人とも口を揃えた。

 松本監督は、次の作品について、「いくつか企画は考えています。脚本の段階のものも少し」と明かし、「次回作は暗い気持ちにならない作品に(笑)。『傀儡』は作ることで精一杯でした。観てもらうことがゴールではなく、観た後のことを考える着地点のある作品を作りたい」と意気込みを語った。(編集部・梅山富美子)

映画『傀儡』予告編 » 動画の詳細
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