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間違いなしの神配信映画『くすぐり』Netflix

神配信映画

ドキュメンタリー編 連載第5回(全7回)

 ここ最近ネット配信映画に名作が増えてきた。NetflixやAmazonなどのオリジナルを含め、劇場未公開映画でネット視聴できるハズレなしの鉄板映画を紹介する。今回はドキュメンタリー編として、全7作品、毎日1作品のレビューをお送りする。

世界一バカな競技を取材するはずが、戦慄のスリラーに変貌!

くすぐり
『くすぐり』Netflixにて配信中

『くすぐり』Netflix

上映時間:91分

監督:デヴィッド・ファリアー、ディラン・リーヴ

キャスト:デヴィッド・ファリアー、ディラン・リーヴ

 傑作ドキュメンタリーの条件は、決して「良くできている」ことではない。極論すれば、作り手が被写体やテーマを追いかけるうちに、当初の構想からはみ出した「奇跡」に出逢えるか否かにかかっている。その点、一部の配信界隈で「あまりにも奇怪」だと話題となった『くすぐり』(2016)の作り手は、とてつもない「奇跡」に遭遇した。言い換えるなら映画の神がほほ笑んだ。期せずして「恐るべき鉱脈」を掘り当ててしまったのだ!

 『くすぐり』を監督したデヴィッド・ファリアーはニュージーランドのジャーナリストで、ある日、ネットでヘンテコな動画を発見した。それはマッチョ自慢の若者たちが、どれだけくすぐりに耐えられるかを競う「くすぐり選手権」の映像だった。ファリアーは早速取材を申し込むのだが、バカバカしい競技を面白おかしく取材するはずが、決して開けてはいけない闇社会の扉を開いてしまう……。

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くすぐり
『くすぐり』Netflixにて配信中

 というのも、取材を申し込んだ主宰団体が突然烈火のごとく怒りだし、取材拒否どころか、ファリアーを全力で潰そうとしてくるのだ。突然アメリカから派遣されてくる弁護士団。ストーカーレベルで送りつけられる脅迫メールの数々。理解不能だからこそ湧き上がる恐怖と戦慄。身の危険すら感じるファリアーだが、逆にジャーナリスト魂を燃え上がらせる。共同監督のディラン・リーヴと一緒にアメリカに飛び、黒幕の正体を突き止めようと突撃取材を敢行したのだ!

 ここから先の展開はネタバレを避けて伏せるが、やがて「くすぐり」業界の異様な実態が明らかになり、巨大な権力の存在が浮かび上がる……って、書いていても説得力ゼロなんじゃないかと心配になってきた。だって出発点は「くすぐり選手権」ですよ。お調子者のユーチューバーのカテゴリーですよ。それがどうしてサイコスリラーも真っ青の狂気の世界に転じてしまうのか? しかし、どんな猟奇殺人のドキュメンタリーにも負けないくらい、『くすぐり』は不気味で怖い。

 実は『くすぐり』には後日談を描いた続編がある。「くすぐり」界の黒幕と再び相まみえる短編ドキュメンタリー『ザ・ティックル・キング(原題) / The Tickle King』(2017)だ。日本語字幕はないがYouTubeで観ることができる。さらにネット情報を漁ってみれば、ショッカー(仮面ライダーの宿敵)が壊滅したらより強いゲルショッカーが生まれたみたいなさらにややこしい最新事情に出くわすはず。いずれにせよ、この奇々怪々な迷宮に足を踏み入れてみようという勇気を持つ人は、ぜひ『くすぐり』を観て、大いに困惑していただきたい。(文・村山章)

Netflixオリジナル映画『くすぐり』独占配信中

#間違いなしの神配信映画

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