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モーションキャプチャーの名演は役者だけの功績じゃない!ブラッド・バード激白

ピクサー本社で語るブラッド・バード監督
ピクサー本社で語るブラッド・バード監督 - (c) KaoriSuzuki

 全米でアニメーション映画史上最大のヒット作となった『インクレディブル・ファミリー』のブラッド・バード監督が取材に応じ、アニメーションへの熱い思いを明かした。

映画『インクレディブル・ファミリー』予告編

 『Mr.インクレディブル』と『レミーのおいしいレストラン』でアカデミー賞長編アニメ映画賞したバード監督は、11歳の頃からアニメ作品を制作し、14歳でディズニーに注目されたまさに天才。ディズニーの伝説的アニメーター集団「ナイン・オールドメン」の一人であるミルト・カールに師事し、彼の仕事ぶりを間近で見て学んだだけあって、アニメーションには並々ならぬ思いがある。

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 「肉体を超越するというのが、キャラクター・アニメーションの素晴らしさ」と語るバード監督は、「役者には演じられるものに限界があるが、アニメーションでは蝶々、水滴、稲妻、巨大なクマ、傲慢なトラといったあらゆるものになることができる」とアニメーターはある意味、限界を持たない俳優だと力説。「このキャラクターは何を考えているのか? この直前にキャラクターに何が起きたのか? それはこのシーンで彼らがどう動くかということに、どう影響を与えているのか?」と自問して、キャラクターを動かしていくのだという。

 モーションキャプチャーについても、それが名演である時には必ずアニメーターの手が入っているとバード監督。「演技をパフォーマンス・キャプチャーから取ってただキャラクターに入れただけだと、それ(演技)は死んでしまう。ただのフィジカルな動きにしか感じられないんだ。それが“死んだアニメーション”の僕の定義」と手厳しい。「だがアニメーターたちが手を加えることで、キャラクターは突然生き生きとリアルに感じられる。そのことを俳優たちは言いたがらない。なぜなら彼らはアニメーションキャラクターが、演技賞にノミネートされることを願っているから。もしアニメーターがそれに関わったと言えば、俳優の価値を損なうことになるらしい。だから俳優たちは、どれほど彼らの演技がアニメーターたちにいじられているかを決して認めたくないんだ」

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 「確かに演技の土台はあるかもしれない。でも、観客がスクリーン上で見る演技は、アニメーターたちに助けられたものなんだ」と再び力を込めたバード監督は、「アニメーターたちを隅にいる技術者として見るのではなく、とてもユニークなアートの訓練を受けたアーティストとして見て欲しい。彼らはデジタル情報や手描き、パペット、クレイなどを使ってそれで演技をしているんだ」と思いを抑えられない様子でまくし立てた。

 『インクレディブル・ファミリー』でもアニメーションだからこそできたフィジカルなアクションシーンがある一方で、ヘレン(Mr.インクレディブルの妻)と新キャラクターのイヴリンという二人の女性がパーティーでただ会話をしているという静的な描写もある。「彼女たちはそこで何か特別なことをやっているわけじゃないが、僕にとっては魔法のようなことをやっているんだ。なぜなら、全く違う経験をしてきた人生のある時点にいる女性たちが、意見の合致に至るさまを描いているから。それをビジュアル的に、アニメーションでどう表現するかを考えるのは興味深いよ」とアニメーションの静と動の魅力が詰まった本作について語った。(編集部・市川遥)

映画『インクレディブル・ファミリー』は8月1日より全国公開

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