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アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞候補、虐待問題を描いた注目作を監督が語る

第91回アカデミー賞

自身も虐待被害者だったことを明かしたビン・リュー監督
自身も虐待被害者だったことを明かしたビン・リュー監督

 第91回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞にノミネートされている注目の映画『マインディング・ザ・ギャップ(原題)/ Minding the Gap』について、ビン・リュー監督が、2月14日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで語った。

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 イリノイ州ロックフォードで育った少年ザック、キエル、ビン。3人は、家族から虐待を受けた現実から逃れるためにスケートボードに没頭していたが、結婚や就職で大人としての責任を抱えたことで、過去の家族とのトラウマに対峙する決意をする。

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 23歳のときにアメリカ国内のさまざまな場所でスケートボーダーをインタビューしていたリュー監督は、その1年後に実家のあるイリノイ州ロックフォードに戻る。そのとき、キエルに出会い、彼のストーリーに惹かれたそうだ。「彼とは同じコミュニティーで育ってはいるものの、僕よりも8歳若いし、あまり知らなかったんだ。ザックのことは少し知っていたけれど、再会したとき、彼のガールフレンドは妊娠8か月にもかかわらず、ザックは父親になる準備ができていなかったんだ。そこで、ザックと彼女の二人を追ってみるのはどうかと興味を持ったんだ。僕は映画『フープ・ドリームス』を手掛けたカーテムクイン・フィルムズで働き始めたことで、キャラクターを追い、キャラクターの旅路を通して、ドキュメンタリーをまるでフィクションのように描けることを知ったからね」

 劇中には、リュー監督と自身の家族の話も含まれる。「撮影当初は、虐待というテーマは彼ら出演者にまつわることであり、それは(家族から虐待を受けていた)僕にも言えることだったが、僕は映画に出る必要はないと思っていたんだ。けれど、映画内で出演者二人のうちの一人が、虐待をしていたことが発覚するんだ。それが全てを変えたよ。映画を製作する以外にも、自分にはどんな役割があるか考えたんだ。(撮影中の)安全性、倫理観、他の出演者にどのような影響与えているか、または与えていないかまで考えた。(この虐待が)これまで撮影してきた彼らの関係さえも壊す可能性があったんだ」この問題解決のために、過去に虐待を受けていたリュー監督自身も映画に出演し、虐待の意味を虐待していた出演者にわからせることにしたそうだ。

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 そのリュー監督は、母親の再婚相手の義父から虐待を受けていた。映画内では暴力的だった義父について母親と語り合う感情的なインタビューも含まれている。主観的になりかねない場面だが、リュー監督は子供の頃に学んだ自己防衛によって、客観的にインタビューできたという。「子供の頃は、義父を恐れてとても慎重に行動していたと思うんだ。家庭内で何かヘマをすると殴られる懸念を、公共の場や学校でも抱えていたし、子供としてそんな懸念に対処することを学ばなければいけなかった。例えば、全てを内に秘めるようにね」映画では、母親とのインタビューを通して、リュー監督が当時胸に秘めていた感情を吐露し、母親との関係の修復に努めている姿も描かれている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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