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寛 一 郎、吉行和子におびえていた

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吉行から飴をもらうのも怖かったという寛 一 郎
吉行から飴をもらうのも怖かったという寛 一 郎

 女優の吉行和子が18日、主演映画『雪子さんの足音』(全国順次公開中)の初日舞台あいさつを渋谷・ユーロスペースで行い、共演の寛 一 郎が、お節介がエスカレートする老嬢を演じた吉行に、おびえていたことを明かした。舞台あいさつには菜 葉 菜浜野佐知監督も参加した。

【写真】笑顔の寛 一 郎

 木村紅美の同名小説を映画化した本作は、孤独な大家・雪子(吉行)と、心に闇を抱えた小野田(菜 葉 菜)が、下宿人の大学生・薫(寛 一 郎)に過剰な世話を焼くさまを描いた人間ドラマ。浜野監督とのタッグは5作目だと切り出した吉行は、「これが極めつけ。これでいいやというくらいに、この役に満足しています」と誇らしげだ。

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 もともと吉行のマネージャーと一緒に飲んでいたという浜野監督に、吉行が「とんでもないばあさんの役がありませんか」とLINEを送ったことが本作の始まりだったという。「とんでもないばあさんを描くなら、自分しか出来ない」という使命感を感じたという浜野監督は「ちょうどそのとき、木村紅美さんが書かれた小説が『群像』という雑誌に発表されたんです。それを読んで。吉行さんにやってもらう、とんでもないばあさんはこれしかないと思って。(原作小説が)芥川賞候補になる前にお会いしたんです」と述懐。

 小説を読んだ吉行は「実はとんでもないばあさんの前に“ステキな”という言葉をつけようかなと思っていたんですよ。あつかましいかなと思って言わなかったんですけど。そうしたら何倍もステキな雪子さんの役が見つかった」と笑顔を見せた。

雪子さんの足音

 寛 一 郎演じる薫は、雪子と小野田という二人の女性に翻弄される。寛 一 郎と菜 葉 菜は以前に共演経験があり、菜 葉 菜の演じた小野田に対して寛 一 郎が「怖い」「ヤバい」と軽口をたたくような間柄だったという。「二人は仲がいいんだけど、わたしは取り残されたような感じで」と笑いながら切り出した吉行は、「寛 一 郎くんがあまりにもおびえているなというのは、わかっていました。わたしは(寛 一 郎の祖父の)三國連太郎さんの世代だから、あなたとは話が合わないわよねとフォローしたんですけどね」と続ける。

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 「寛 一 郎くんが困った顔を見るのは楽しかったですね。かわいいなと思っていました」と吉行が言うと、寛 一 郎も「控え室で『飴を食べる?』と言ってもらったんですけど、役のこともあって、怖くなって。楽屋でも緊張感というか、ドギマギしました」と返して笑いを誘った。

 それでも雪子という役柄には「チャーミングで魅惑的なおばあちゃんで、楽しかった」と感じたという寛 一 郎。「笑顔の中から、たまに出てくる狂気がなんだか魅力的というか。言語化はしづらいんですけど、薫が惹かれる気持ちもわかりますね」としみじみ付け加えた。

 本作には寛 一 郎の父、佐藤浩市も出演している。(取材・文:壬生智裕)

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