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大杉漣さん最後の主演作が公開初日 共演者&監督が故人しのぶ

大杉漣さんの等身大パネルが用意された
大杉漣さんの等身大パネルが用意された

 今年2月に急逝した俳優・大杉漣さんが初プロデュースを手がけ、最後の主演作になった映画『教誨師(きょうかいし)』が6日に公開となり、東京・有楽町スバル座で行われた初日舞台あいさつに、キャストの光石研古舘寛治烏丸せつこ五頭岳夫玉置玲央小川登佐向大監督が出席。 大杉さんとの撮影の思い出を語り合った。

【写真】初日舞台あいさつの様子

 本作で大杉さんは、拘置所の「教誨師」に着任した牧師・佐伯を演じている。教誨師とは、受刑者の心の救済に務め、彼らが改心できるよう導く宗教家のことで、教誨師の佐伯が死刑囚たちに寄り添いながら、自分の言葉が本当に彼らに届いているか、死刑囚が心安らかに死ねるよう導くことは正しいことかと苦悩し、自身の過去や人生に向き合う姿を活写する。

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 ほぼ全編「教誨室」という限られた空間で佐伯と死刑囚の息詰まる、そしてときにユーモラスな会話劇が展開する本作。大杉さんと対峙したのが、年齢・境遇・性格も異なる死刑囚を演じた光石、古舘、烏丸、五頭、玉置、小川の6人だ。

 ドラマ「バイプレイヤーズ」シリーズでも大杉さんと共演し、今作では気のいいヤクザの組長・吉田にふんした光石は、盟友・大杉さんとの撮影について「『今度、映画撮るから出てよ』って(大杉さんに)言われて、何の役かも知らずに『やります』ってすぐに返事しました。大杉さんと1対1で対峙してやれることが、すごく魅力的だったし、胸を借りるつもりでやれた。控え室で2人で読み合わせしたあとにすぐ現場に入り『どんどん(カメラを)回そうよ』ってやっていったんです」と息もぴったりのやり取りを振り返った。

 おしゃべりな関西の中年女性・野口役の烏丸が「矢継ぎ早にセリフを言わなきゃいけなくて何度もNGを出しちゃったんですが、私のときは漣さんは聞いているだけなのでラクそうでした」と笑わせ、お人好しのホームレス・進藤役の五頭も「大杉さんとは(別の)劇団でやっていたとき(大杉は『転形劇場』、五頭は『青年劇場』)から因縁を感じていて、今回もかつての演劇青年の頃に引っ張って行ってもらった感じ。子どもに戻れました。楽しかった」と笑顔を見せた。会場を和やかな雰囲気にした五頭は、近年『凶悪』『バクマン。』『万引き家族』など数々の作品で存在感を発揮している。

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 メガホンを取った佐向監督は制作の経緯について「人間と人間の格闘技みたいなやり取りを、言葉と役者さんの佇まいだけで撮りたいと思い、3年前に『こういう映画が撮りたいんです』と大杉さんにお話ししたときに、この映画が始まりました」と紹介。「現場でずっと大杉さんは『これを僕の遺作にするから』と冗談でおっしゃっていたんです。3部作のシリーズにしたいと言っていた。観ておわかりかと思いますが、大杉さんの役者としての覚悟がすごく出ていると思います。今日この場に立つべき一番の人がいないのは本当に寂しく悔しいですが、(劇場の)どこかにきっといらっしゃるんだと思う」と大杉さんへの思いを吐露した。最後のキャスト陣の写真撮影では大杉さんの等身大パネルも登場し、全員で大杉さんを偲んだ。(取材・文/岸田智)

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