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『アサシン クリード』マイケル・ファスベンダー&マリオン・コティヤール インタビュー

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 世界的なヒットを記録したゲームを、新たなキャラクターとストーリーで実写化した映画『アサシン クリード』。遺伝子操作によって、ルネサンス朝スペインで暗殺者として活躍した祖先の記憶を追体験させられる死刑囚のカラム・リンチが、歴史に隠された謎に迫る姿を描いたアクションミステリーだ。主人公カラムとその祖先を1人2役で演じ、プロデューサーにも名を連ねているマイケル・ファスベンダーと、遺伝子の記憶をたどることができる装置“アニムス”を開発したソフィア・リッキン博士にふんしたマリオン・コティヤールが、原作ゲームから本作のテーマの一つである遺伝までについて、オーストラリア・シドニーでとことん語った。(取材・文:編集部・石神恵美子)

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■ファスベンダー&マリオンは2人ともゲーマー気質!?

『アサシン クリード』

Q:ファスベンダーさんがゲームに夢中になっている姿を想像できません。

ファスベンダー:ほんとに? 昔はかなりのゲーム好きだったんだ。レースゲームばかりだったけど。もっとも、その後はずっとやってなかった。本作を製作することになって、このゲームをやったけれど、それが16年ぶりだったかな。ゲームを上手にこなせるようになるためには、たくさんの時間を費やさなければならないけど、あいにく時間がなくてね。

Q:マリオンさんもきっとゲーム好きではないですよね?

マリオン:そうね(笑)。でも、この映画の原作とは違ったタイプのゲームで遊んだことはあるわ。子供のときはテトリスにハマったし、最近もよくするゲームがあるの。実はとても得意で(笑)。それは「The Room」という名前のゲームで、画面に箱が出てきて、その箱を開けるためには謎を解かなくてはいけなくて、その箱を開けるとまた別の箱が出てきてっていう感じで、とてもクールなのよ。私って簡単に夢中になってしまうタイプだから、ビデオゲームに近づかないようにしているの。いったん始めてしまうと、そのことで頭がいっぱいになっちゃうから。幸いなことに、親友に「アサシン クリード」の大ファンがいたから、彼にいろいろ質問をさせてもらったわ。私自身がゲームをしたら、止めることができなくなってしまうから。今は女優業と母親業だけでいっぱいいっぱいの状態で。

『アサシン クリード』

Q:ファスベンダーさんは、本作で主演だけでなくプロデューサーも務めていますよね。そこまでのめり込んだ理由はなんでしょうか。

ファスベンダー:もともと俳優だけじゃなくて、ストーリーテリングの全体に関わりたいという欲求はずっと前から抱いていたんだ。17歳のときに役者をはじめて、19歳のときには自分が出演する劇を自らプロデュースしていた。自分の故郷で同級生たちと一緒に舞台版『レザボア・ドッグス』をナイトクラブで披露するというもので。キャリアの始めからそうした関わり方をしていたから、その後もずっとストーリーテリング全体に関わりたいという気持ちを抱えていたんだ。役者としてようやくそういうことを実現できる地位に立ったとき、すぐに制作会社を作って、さまざまなストーリーの企画開発をスタートさせた。新しい脚本家や新しい監督たちとの企画を温めつつ、すでに名声を築いているベテランとも話を進めたり。プロデューサーを務めるのは当然の流れだったんだ。

Q:本作を自らのプロデュース作に選んだのはなぜですか?

ファスベンダー:この物語の世界にあっという間に引きこまれたからだ。ゲームについてはもともと何も知らなかったんだけれど、ゲーム会社のユービーアイソフトの人たちと会って、彼らに「アサシン クリード」の世界を説明してもらったんだ。テンプル騎士団とアサシン教団の対立や、DNAメモリーのコンセプトを教えてもらったら、「ワオ、これはクールだぞ!」と興奮した。とくにDNAメモリーに関しては、科学的に根拠のある刺激的な理論で、SFファンタジー映画として追求するに相応しい題材だと思ったね。

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■映画のアイデアが原作ゲームにも取り入れられた!

『アサシン クリード』

Q:アクションシーンが素晴らしかったです! ファスベンダーさんはアクションシーンの95%をご自分でなさったと聞きましたが、どのように準備したのでしょう。

ファスベンダー:今回の撮影に耐えられるように、かなりトレーニングに励んだよ。コンディショニングと、コアトレーニング。さらに、ファイトシーンの殺陣を学ぶためのトレーニングを行った。アクションシーンが複雑だから、撮影に入ったら殺陣のトレーニングをとにかく繰り返したね。もともと体はそれなりに鍛えているんだけど、今回は5ヶ月間トレーナーとともに取り組んだよ。あとは、スタントチームも一緒にね。

Q:もっとも苦労したスタントは何ですか。

ファスベンダー:2度目に遺伝子操作装置のアニムスにつながれて、祖先の記憶である異端判決宣告式(アウト・デ・フェ)に行くところだね。アクションが複雑というよりも、マルタ島での撮影がとにかく暑くて苦労した。さらに、炎があったり、チェーンを使ったバトルがあったりと、技術的な要素がたくさんあって、とても難しかったんだ。

Q:アニムスで主人公は想像上の相手と戦いますが、誰もいない現場で撮影をしたのですか。

『アサシン クリード』

ファスベンダー:実は撮影現場に相手はいたんだ。参考のためにね。そのあとで、相手をCG処理することになった。アニムスに関してはゲーム版と違っている。ゲーム版ではキャラクターはただそこに座っているだけなんだけれど、映画化にあたって、もっと動きがあって、双方向的なものにしたかった。それで、アニムスアームというのを生み出したんだ。今ではそれがゲーム版にも採用されているんだ。これって、クールだよね。僕らはゲーム版を参考にしていたわけだけれど、僕らの考えたものが逆にゲーム版にも採用されるなんてね。僕らにとっては、その新しいアニムスを生み出したのが突破口になったね。

Q:(マリオンに)あなたが演じるソフィアはとても強くて、自立していますが、こういう女性に共感できますか?

『アサシン クリード』

マリオン:うん、独立心が旺盛で、仕事に懸けているところは似ている。ただ、ソフィアのほうがずっとすごい。世界から暴力を根絶するための方法を追い求めるという、崇高な仕事をしている。その一方で、彼女には恋人も子どももいない。こういう点にはとくに共感はできないわ。私は自分の仕事を愛しているけれど、彼女のように、自分の人生すべてを捧げてしまおうとは思えないから。映画や演技のために、すべてを捧げるなんてことはできない。自分の人生をきちんと楽しみたい。それに、演技をするためには、きちんとした人生経験がなければいけないものだと思う。演技っていうのは、自分が観察したものを、監督のビジョンを通して、体現するものだと思うから。でも、ソフィアはとてもパワフルで、強い信念を持った女性であり、同時に謎に包まれているからこそ、演じるのが楽しかったわ。なによりも、彼女の大義は素晴らしいものだと思う。

Q:本作ではDNAが一つの鍵になっていますが、ご両親から受け継いだ特徴で、好きなところと嫌いなところを教えてください。

ファスベンダー:10代のときに、ニキビがひどかったんだ。両親のどちらから受け継いだのかと疑問に思ったことを覚えている。大食いなのに太らないのは母のほうの遺伝だね。とても感謝しているよ(笑)。

マリオン:私は受け継いだものを善悪では判断していないの。すべては遺伝であり、それを受け入れつつ、より良い人になろうと努力することが大事だと思うから。ただ、このテーマはとても面白いわよね。例えば、ある問題を抱えている人も、それが先祖から受け継いだ遺伝性のものであると認識することで、うまく対応したり、解決できることがある。自分の祖先が何者か、自分が何で出来ているのか把握しておくのは、意味があると思う。いまの自分がこの世に存在するのは、たくさんの祖先のおかげだから。

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■映画とは液体のようなもの!?

『アサシン クリード』

Q:(ファスベンダーに)このような大作映画を実現させたことで、もっと大きな作品をやりたいという気持ちになったんじゃないですか。

ファスベンダー:いや、必ずしも大作映画には限らない。あらゆるストーリーを伝えたいと思っているから。DMC(ファスベンダーの制作会社)では、いまでもたくさんの企画が進行中で、低予算映画から中規模、さらに、『アサシン クリード』以外の大作映画も準備中だ。さらに、テレビドラマもやっているし。

『アサシン クリード』

Q:これまで俳優として大作映画にいくつも出ていますが、この映画をプロデュースするにあたり、もっとも役に立った教訓はなんですか?

ファスベンダー:いつでも変更するスタンバイができていなければいけない、ということかな。映画とは、ひとつの確固たる固体ではなく、制作中に常に形を変えていく液体のようなものなんだ。現場でうまくいかないときは、アイデアを出しあい、方向性を変えたり、新しいことを試していく。このプロセスは編集作業中にも続く。映画をつくるときには、一つのアイデアに固執せず、柔軟に対応できることが大事だということを学んだよ。それこそ、毎日のように変更を加えていたから。ページの上ではとても心に響く表現が、実際に撮影してみると、観客にうまく伝わらないことがある。それで、現場で調整を加えていく。毎日がこの繰り返し。具体例を挙げたいんだけど、あいにく思いつかないな。

Q:(マリオンに)本作はゲームの映画化作品ですが、ゲームに馴染みのない女性の観客はどんな点を楽しめると思いますか?

マリオン:女性でもゲームをする人はたくさんいるわ。とくに「アサシン クリード」の場合、女性のユーザーの割合がとても高いの。それに、わたし自身ゲームのことはなんにも知らなかったんだけど、脚本がとてもパワフルだと思った。DNAに先祖の記憶が組み込まれているとか、魅惑的な要素があって。自由意志や暴力というテーマもとても力強いと思う。おかげで、ゲームのことをなにも知らなくても、キャラクターとストーリーに入り込んでしまった。実は、試写でこのゲームの大ファンと一緒だったの。彼らは、これまでに発売された8か9のストーリーを知っている。映画をつくっているときも、彼らにしつこく質問されたの。どんな内容なのか、わたしから聞き出そうとして(笑)。その一方で、ゲームを知らない人も試写にいたけれど、彼らも同じように映画を楽しんでくれた。このストーリーは映画のためにつくられたもので、ゲーム版には出てこない時代を舞台にしているし、キャラクターもみんな新しく作られたものだから、何も知らなくても楽しむことができる。ゲームを知っていても知らなくても、新しい要素がたくさんあるから、誰でも楽しめる映画になっていると思うわ。

『アサシン クリード』
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【取材後記】

ファスベンダーが次なる新作『エイリアン:コヴェナント』の撮影をしていたシドニーで行われた今回のインタビュー。ファスベンダーは本作でプロデューサーにも名を連ねているだけあって、熱心に思いのたけを語っていたのが印象的だった。一方のマリオンは、妊娠中とあって大きなお腹での登場となった。『マクベス』でもタッグを組んでいた2人が、本作では全く違う顔を見せていることにあらためて彼らの実力を思い知る一作になっている。

映画『アサシン クリード』は3月3日より全国公開

映画『アサシン クリード』オフィシャルサイトはこちら

(C) 2016 Twentieth Century Fox and Ubisoft Motion Pictures. All Rights Reserved.

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