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「The OA」話題のクリーチャー声優は日本人俳優!本人に直撃

Netflixオリジナルシリーズ「The OA」シーズン2キービジュアル
Netflixオリジナルシリーズ「The OA」シーズン2キービジュアル

 少女失踪事件をきっかけに、臨死体験や次元を超える異色のSFミステリー「The OA」(2016~)。3月22日より世界同時配信されたシーズン2が世界各国で話題を呼んでいる。あっけに取られるようなラストも含めて賛否が分かれたシーズン1を経て、スケール感が増したシーズン2は批評家と視聴者の双方で圧倒的に高い評価を得ている。

【動画】「The OA」シーズン2予告編

 クリエイターはブリット・マーリングザル・バトマングリッジ。マーリングは主人公OA /プレイリーを引き続き演じており、バトマングリッジはシーズン2では全8話中5話の監督を務めている。マーリングとバトマングリッジのほか、製作総指揮にはプランBエンターテインメントを率いてブラッド・ピットらが名を連ねていることでも注目のシリーズだ。

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 カルト的な人気を誇った前シーズンから、世界的なヒット作へと飛躍を遂げたシーズン2。奇妙な物語の中でもとりわけ強い印象を残しているのが、シーズン2の第4話「SYZYGY」に登場する正体不明のクリーチャーだ。その名は”オールド・ナイト”。最新のVFXを駆使して生まれた謎の巨大生物の登場シーンは5分強。だが、本作のシーズン2の米有名紙「IndieWire」や「Collider」、「GQ」などのレビューには等しく、このキャラクターの名前が挙げられていた。それほどのインパクトは絶大なオールド・ナイトの声を演じているのが、日本人俳優・尾崎英二郎である。

OA
ここは一体……?

 キャスティングを担当したのはシーズン1に続いて、 『ブロークバック・マウンテン』(2005)などの映画を中心に、秀作ドラマ「ナイト・オブ・キリング 失われた記憶」(2016)、「マニアック」(2018)などを手掛けるアヴィ・カウフマン。尾崎はオーディションビデオの演技と声の質をかわれて、この役を獲得した。

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 「英語の台詞のみ、しかも声の出演となるため、やはりネイティヴが有利になる。しかし、カウフマンからオーディション後に『Good reading!』と気に入ってくれたという連絡をいただき、あまり期待はしないようにしようと思う一方で、英語の音声を評価してもらえただけでも良い励みになっていました。ですから、その数日後に役を獲得できたと知った時は、本当に嬉しかったです」

 尾崎が演じるのは、プレイリーの心にだけ聞こえてくるオールド・ナイトの声である。ヴォイス・オーヴァーは録音スタジオのブースにこもり、監督の演出に沿ってスタンドマイクに向かって録音するのが一般的。だが今回はセットでの撮影で、実際に主演のマーリングが耳にイヤホンを見えないように装着し、尾崎はセットの裏でヘッドフォンを装着して主演女優に語りかけ、その声に対してマーリングが応えていくというやり方だった。

 「徐々にマーリングとの呼吸も合っていき、お互いの演技に反応するボルテージがどんどん上がっていくのがわかった」と語る尾崎。このシーンの撮影終了後、マーリングから直接、「あなたの声を聴いて、わたしは演じずとも反応するだけで良かった。聴いた瞬間に、この声だと思った。(このドラマに)出演してくれてありがとう!」との賛辞を受け、会話を交わしたという。実は、このことは俳優にとって大きな意味を持つ。

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OA
プレイリーを続投するブリット・マーリング

 業界には「Above the line」という言葉がある。トップクリエイターやショウランナー、プロデューサー、もしくは主演級スターたちを構成する人々と、ゲスト出演者などの間には、ある一定の線引きがあり交流することが難しい。階級差別があるという意味ではなく、自分の役柄が物語の軸に絡まない出演の場合、撮影現場では一つのピースであるため、役柄についてディスカッションするような必要性も特に生まれないからだ。尾崎の場合、この地位が渡米以来、約10年間続いた。だが、「高い城の男」や「レジェンド・オブ・トゥモロー」、そして本作の仕事を通して、11年目にして確実な変化を実感したという。

 「昨年の「レジェンド・オブ・トゥモロー」のシーズン4第5話では、ゲスト主役を務めました。物語の舞台が日本であったこと、そして実在の本多猪四郎監督を演じたことで、僕自身の役へのリサーチやアイデアと提案がトップのエグゼクティヴ・プロデューサーや脚本家たちに通り、番組作りに大きく反映されました。『高い城の男』シーズン4の撮影では、役が前シーズンよりも膨らんだことでストーリーラインに絡むことが増した。必然的にシーズン4のショウランナーやエグゼクティヴ・プロデューサー兼脚本家らと話せる機会が増えたのです」

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 「The OA」では、セリフはすでに完成しており、日本人キャラクターではなく議論などの余地はなかった。だが、直接トップクリエイター兼主演女優や監督から英語力と声の質、演技を高く評価されたこと、そして最終的には感謝を伝え会う関係性を築けたことは、「異国の地ハリウッドで仕事をする外国人俳優として大きな1ステップだった」と語る。「Above the line」の人々の信頼を勝ち得て、さらなる高みへ。一歩一歩着実に前進する尾崎の活躍から、今後も目が離せない。(取材・文:今祥枝)

Netflixオリジナルシリーズ「The OA」シーズン1~2独占配信中

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