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あるある満載!兄妹映画5選

今週のクローズアップ

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 7月20日公開の細田守監督最新作『未来のミライ』は、ある兄妹の時間を超える旅を描いたアニメーション映画。思わず頷いてしまうような「兄妹あるある」が随所に織り込まれている同作をはじめ、あるある満載の兄妹映画を紹介します。(編集部・吉田唯)

ついつい皮肉ばかり言っちゃう!

STX Entertainment / Photofest / ゲッティ イメージズ

スウィート17モンスター
兄:ダリアン(演:ブレイク・ジェナー
妹:ネイディーン(演:ヘイリー・スタインフェルド

 イケてない毎日を送る17歳のネイディーンが、イケメンで人気者の兄ダリアンと自分の親友がベッドにいるのを目撃してしまったことから始まる兄妹関係の変化を描いた本作は、「優しい兄妹によるホッと胸が温まる家族物語」というよくある理想像ではなく、とにかくリアルな兄妹関係が描かれています。

 兄と親友の交際を知ったネイディーンは、ダリアンを罵り、親友には「私を選んで」と迫ります。はたから見たら超自己中心的でイタい行動ですが、仲が良いわけでもない兄と唯一の親友がカップルになるなんて最悪……という気持ちは正直わからなくもないです。絶望に打ちひしがれるネイディーンは、ダリアンに「私の友達に近づかないでよ ヘンタイ野郎」などと悪態をつきまくるのですが、その口の悪さも兄妹だからこそ! 家族だからこそ、ついつい皮肉ばかり言ってしまう。そんな兄妹のリアルな応酬が痛快です。

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STX Entertainment / Photofest / ゲッティ イメージズ

 中二病とまではいかないものの、自分は悲劇のヒロインであるかのように振る舞い、どこかこじらせてしまっているネイディーン。そんな彼女が、周囲の人々や自分を改めて見つめ直さなければならなくなってしまったとき、どう人間関係を修復させていくのか。大人の階段を上る瞬間の切ない痛みが、あたたかな眼差しで描かれています。

生まれたばかりの妹に嫉妬!

(C) 2018 スタジオ地図

『未来のミライ』
兄:くんちゃん(声:上白石萌歌
妹:ミライちゃん(声:黒木華

 くんちゃんは甘えん坊の4歳児。一方のミライちゃんはまだ生まれたばかりの赤ちゃんです。ミライちゃんが生まれてからというもの、大好きな両親はミライちゃんにかかりきり。ある程度の年齢差がある兄妹であれば、赤ちゃんにかかりきりになるのは仕方がないことだと理解できますが、くんちゃんはまだまだ甘えたい盛り。ミライちゃんに親を盗られたように感じてしまい、思わずミライちゃんに手を上げそうになったり、親にワガママを言ってみたりと、どうしてもミライちゃんを受け入れることができません。弟や妹の誕生による嫉妬は実生活でもよくあることで、実際に細田守監督は自身の息子の様子を見てこの物語のヒントを得たそうです。

 また、劇中ではくんちゃんが自分の好きな鉄道のおもちゃをミライちゃんにアピールするシーンも。大きくなれば関心事がハッキリしてくるのでお互いに干渉しませんが、幼い兄妹の場合、自分の好きなものを共有したがるのはまさに「あるある」。ミライちゃんは生まれたばかりなので特にリアクションを返したりはしませんが、兄の趣味が妹に影響を与えることは少なくありません(筆者も兄の影響で幼い頃は少女漫画ではなく週刊少年ジャンプを愛読していました)。

(C) 2018 スタジオ地図

 そんな本作には、未来からやってきた大きなミライちゃんも登場。兄妹の関係から、どこか姉弟的な逆転の関係になってしまうのもファンタジーならではの面白さです。大きなミライちゃんの導きで時を超える不思議な体験をし、次第に兄として、人間として成長するくんちゃんを見ているうちに、思わず親心が芽生えてほっこりしてしまいます。

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「親に言いつける」という最強のカード

「運動靴と赤い金魚」Blu-Ray 販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ

運動靴と赤い金魚
兄:アリ(演:ミル=ファロク・ハシェミアン
妹:ザーラ(演:バハレ・セッデキ

 第71回アカデミー賞でイラン映画史上初の外国語映画賞ノミネートを果たした本作は、妹の唯一の靴を失くしてしまった兄と、兄の失敗を両親に隠そうと一緒になって奮闘する妹を描いた感動ドラマです。

 一生懸命に妹の靴を捜すも、見つけられなかったアリは、そのことが親にバレたらぶたれるとザーラに訴え、新品の鉛筆をあげて口止めします。しかし、その後も何かあると親に言いつける! と口にするザーラ。この「親に言いつける」という言葉は、子どもにとっては定番ながらも最強のカード。ザーラがそのカードをちらつかせるたびに、子どもの頃はどれだけあの言葉が怖かったことか……と昔を思い出して笑みがこぼれてしまいます。

 結局、二人はアリの運動靴を交代で履いて登校することにします。授業が終わるとザーラは全速力でアリの待つ地点まで駆け抜け、靴とサンダルを交換するとアリが学校まで走っていくという計画です。しかし、サイズが合わないため靴が脱げてしまったり、遅刻したりと上手くいかないことばかり。親に言いつけると言いながらも、実際には靴を失くしたことがバレないよう兄に協力するザーラの健気さや、親や妹への罪悪感に苛まれながらも自力でどうにかしようとするアリの必死さなど、子どもたちの奮闘が胸を打ちます。

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少ない会話で浮き上がる距離感

(C) 東京シネマ倶楽部/発売元:DIGレーベル(株式会社ディメンション)

『東京兄妹』
兄:日暮健一(演:緒形直人
妹:日暮洋子(演:粟田麗

 両親を亡くした兄・健一と、妹・洋子の二人暮らしを描いた本作は、第45回ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞、1995年度のキネマ旬報ベスト・テンで第2位(日本映画部門)に輝いた作品。健一のご飯を洋子がよそったり、せっかく買ってきた座椅子を使わない洋子に健一がすねてみせたりと、兄妹の関係性が垣間見える細やかな日常描写が光ります。

 中でも印象的なのは、自転車に乗った洋子が町中を歩いている健一に出くわすシーン。洋子は自転車に乗ったまま、後ろから何も言わずスッと健一を追い越します。このとき二人はお互いにチラリと視線をやるだけで、顔色も変えません。しかし、次のカットでは自転車から降りた洋子と健一が一緒に歩き、下り坂に差し掛かると二人乗りをして坂道を下っていきます。大人になってみると、兄妹との会話にはどこか気恥ずかしさが伴うものですが、決して話すこと自体が嫌なわけではありません。そんな年頃の兄妹の絶妙な距離感が、少ないセリフの中で見事に表現されています。

(C) 東京シネマ倶楽部/発売元:DIGレーベル(株式会社ディメンション)

 ハッキリと言葉にはしないけれど、お互いを大切に思っている二人の関係は、健一が友人を家に招いたことから変化を迎えます。そんな兄妹の心の機微を丁寧に掬い上げる演出と、早稲田を中心とした都電が走るどこか懐かしい街の風景が、完璧な融合を見せた一本です。

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「お兄ちゃんだから」という呪詛

「映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス」DVD(&Blu-ray)発売中 発売元:シンエイ動画 販売元:バンダイナムコアーツ (C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2012

映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス
兄:しんのすけ(声:矢島晶子
妹:ひまわり(声:こおろぎさとみ

 日本で一番有名な兄妹といっても過言ではないしんのすけ&ひまわり兄妹。毎年映画では野原一家やカスカベ防衛隊の活躍が描かれていますが、映画20周年を記念した本作では兄妹関係をクローズアップしています。

 映画の前半には、プリンをめぐる“兄妹あるある”が登場します。プリンを食べようとしたしんのすけに、母みさえは「お兄ちゃんだったら」とひまわりに一口分けてあげるように言います。この「お兄ちゃんだから」「妹だから」というのは、子どもにとって呪詛に近い言葉。この呪文を言われ、嫌々我慢した経験がある人も多いのではないでしょうか。しんのすけも、仕方なくひまわりにプリンを分けますが、残りのプリンを全部食べられてしまいます。その悔しさのあまり、ひまわりのおやつを全部食べて、みさえに怒られたしんのすけ。ついには「妹なんかいらない!」と家を飛び出してしまうのですが、こうした些細ながらも共感を呼ぶ日常シーンと、壮大なスケールの物語を同時に描くのは『クレヨンしんちゃん』シリーズの得意とするところです。

「映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス」DVD(&Blu-ray)発売中 発売元:シンエイ動画 販売元:バンダイナムコアーツ (C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2012

 このシーンの後には、ひまわりが宇宙のヒマワリ星の姫として連れ去られてしまうという衝撃の物語が展開。ひまわりがいなくなったことで、しんのすけが家族と自分の関係をもう一度考えることになるという、シリーズでも屈指の“兄妹愛”に満ちた一作です。

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