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白石和彌監督、キム・ジソク賞ノミネートに万感の思い

第23回釜山国際映画祭

井浦新&白石和彌監督
井浦新&白石和彌監督

 故・若松孝二監督の愛弟子であり『彼女がその名を知らない鳥たち』『孤狼の血』などで高い評価を受ける白石和彌監督がメガホンをとり、晩年の若松作品の常連俳優だった井浦新が若き日の若松を演じた映画『止められるか、俺たちを』(10月13日公開)。本作が第23回釜山国際映画祭「アジア映画の窓」部門に出品され、5日の上映後に行われたQ&Aに、白石監督と井浦が登壇した。

【写真】井浦新がオシャレ!白石和彌監督とともに釜山国際映画祭へ

 本作は、1969年から1971年にかけて、2012年に亡くなった故・若松監督率いる若松プロダクションが熱かった時代を舞台に、若松の助監督であった吉積めぐみのまなざしを通じ、若松の下に集った熱き若者たちを描いた青春グラフィティ。

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 登場人物のあまりの熱量の高さに、観客からは「映画の中で描かれているエピソードは、何パーセントが事実か」との質問。これに対し白石監督は「若松監督の関係者から話をうかがって映画を構成して90パーセントは事実。(本編に登場する)若松プロのメンバーは全員実在人物」と説明すると、映画に目が肥えている釜山の観客も驚きを隠せなかった。

 さらに白石監督は「映画は社会を映す鏡であり、背景となる昭和40年代半ばには、日本の政治や社会を批判する映画が作られていましたが、今はそのような映画を撮れない時代になってしまった。今でもデモに多くの人が参加し、自分たちの主張をアピールする韓国がうらやましく民度が高いと思います」と、今日の日本の現状と比して韓国へのリスペクトを語った。

 一方、恩師とも言える若松をよく知る井浦はどのような気持ちで撮影に臨んだのか。「若松監督をよく知るからこそ、監督をいかに演じていったらよいかと撮影前にすごく悩みました。撮影が始まってからは、自分の恩師と会っている夢のような時間だった。ですが、毎日撮影が終わるとふらふらになって家で寝てしまう。若松監督を演じながら追体験をしていたのですが、彼の野性的なエネルギーがいかにすごかったのか、器の違いを実感した」と撮影現場を振り返っていた。

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 本作は、2017年カンヌで急逝したキム・ジソク釜山国際映画祭副執行委員長を偲び、昨年新たに設けられたキム・ジソク賞にノミネートされている。白石監督は、「若松監督は生前ジソクさんによくしてもらい、わたしもジソクさんと一緒にお酒を飲んだりしてお世話になりました。今回ジソク賞にノミネートされて、若松監督と一緒にジソクさんに会いに来たようで、僕らにとって特別な映画祭になりました」と偉大な2人の先人を懐かしんでいた。(取材・文:土田真樹)

第23回釜山国際映画祭は13日まで開催

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