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映画祭アンバサダー・松岡茉優 単独インタビュー

第31回東京国際映画祭

松岡茉優

初めてのレッドカーペットは足が震えていた

取材・文:森田真帆 写真:日吉永遠

昨年は、コンペティション部門で観客賞を受賞した『勝手にふるえてろ』に主演し、東京国際映画祭のレッドカーペットを歩いた女優の松岡茉優が、今年はアンバサダーに就任。映画『万引き家族』でカンヌ国際映画祭に招待され、世界の映画祭を経験した松岡が、国際映画祭の楽しみ方を語った。

東京国際映画祭で観客賞を受賞した主演作

松岡茉優

Q:主演作『勝手にふるえてろ』は昨年の東京国際映画祭で大盛況でした。

あまり大きな映画館で上映する作品ではなかったので、おそらく上映した一番大きな会場は、東京国際映画祭のTOHOシネマズ六本木ヒルズだったと思います。ミニシアター系での上映がメインだった作品を、多くの人たちと一緒に見る映画体験は、とても面白い時間だったのではないかなと思いました。

Q:映画祭での評価はとても高く、観客賞に輝きました。いかがでしたか?

観客賞を頂いて、大九(明子)監督もわたしもホクホクで、スタッフさんもみんなホクホクになっていたんですけど、よく考えたら公開は再来月だった! とみんなでハッとしました(笑)。TIFFでの上映が終わって、もう満足みたいな感じになっていましたね。

Q:公開前にあれだけ高い評価を集めて、励まされる部分はありましたか?

『勝手にふるえてろ』は、東京国際映画祭に見つけてもらったと言っていた方がいて、その通りだなと思いました。たくさんの人に見てもらいたくない映画なんてないと思います。でも予算が少なく、宣伝も十分にはできない、そんな映画がたくさんの方に見てもらうきっかけを頂きました。公開後にまた来てくださったお客さんが多かったそうです。あれだけたくさんの方に見てもらえたのは、東京国際映画祭のおかげだと思っているので、すごく感謝しています。

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カンヌ国際映画祭のレッドカーペットでは足がガタガタに!?

松岡茉優

Q:今年は映画『万引き家族』で、カンヌ国際映画祭にも行かれましたよね。

なんだか家族旅行みたいな感じでした。子供(子役)たちも一緒に行って、みんなで色々な取材を受けながら、おいしいものを食べたりして、すごく楽しかったです。

Q:みんなで参加している感じだったんですね。

あれだけの映画祭なので、緊張感があるのかと思いきや、すごく温かかったです。とにかく全てにおいて規模が大きくて、小さい子たちが戸惑っている姿はかわいかったし、マイペースに楽しんでいる樹木希林さん、安藤サクラさんがいて、みんなで楽しんでいる姿をリリー・フランキーさんと是枝(裕和)監督がうれしそうに見ていて。本当に家族でお祭りに来たみたいな感じでした。

Q:中でも、カンヌ映画祭のメイン会場パレ・デ・フェスティバルエ・デ・コングレは、とてもゴージャスです。レッドカーペットを歩いた感想はいかがでしたか?

とっても緊張しました。ドレスがレースのような生地だったので、ピンヒールがレースに刺さって、階段を上れなくなってしまって。とっさに「ちょっと桧吏、ごめん、お姉ちゃん刺さっちゃったから」と、(城)桧吏くんの肩を借りて、一生懸命上がっていったのを覚えています。そうしたら、今度はガタガタ震え始めたので、わたしは桧吏くんが緊張しているんだな、かわいいな、11歳だもんなと思ったんです。でも足元を見たら震えていたのはわたしで(笑)。それだけ緊張していたんです。

Q:会場もすごく大きいですよね。

2階まであって、本当に大きいですよね。オペラハウスみたいに素敵な場所でした。びっくりしたのは、エンドロールが始まった途端、すごいスタンディングオベーションだったんです。カンヌ映画祭は、そういうのが普通なんだと思っていたのですが、何度も映画祭に来ているはずの是枝さんやリリーさんが涙目で。「どうしたんだろう」と思っていたら、「あれほどのスタンディングオベーションは当たり前じゃない!」と後から聞いて、わたしも泣きました(笑)。できれば、あの場で泣きたかったですね。

Q:あれほど多くの観客が一斉にスタンディングオベーションって、本当に素晴らしいですよね。

映画って好みじゃないですか。誰かにとって最愛の映画も、誰かにとってはつまらない映画かもしれないし。そんな中で、やっぱりあれだけの人たちが、しかもいろんな国籍の方、生まれも育ちも考え方も、文化も宗教も違う人たちが一斉に立ち上がって「良かった」と拍手をくださる。これは奇跡なんだろうなあと思いました。スタンディングオベーションの中、樹木さんの娘さんの(内田)也哉子さんと、サクラさんのお母さまの(安藤)和津さんが感極まっていらっしゃる様子が印象的でした。

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樹木希林さんが遺した、最高に素敵な言葉

松岡茉優

Q:樹木さんとのカンヌでの思い出はありますか?

カンヌの天気は気まぐれで、パッカーンと晴れる時とザーッと雨が降る時があったんです。取材で、外のロケをしたかった時に雨が降ってきてしまったのですが、みんなドレスでどうしようとなっていたんです。そうしたら希林さんが、うれしそうに「雨のカンヌが見られて良かったわ」とおっしゃって。その一言がすごく素敵で……。もう一度来られるかもわからない場所ですから、お天気も曇りも雨も見ることができたのは、すごくラッキーなことだったんだと、わたしも素直に思えました。

Q:すごく素敵な話ですね。

そう考えると、今年の東京国際映画祭もどんな天気になってもいいですよね。実は、東京国際映画祭はよく雨が降るイメージです。ドレスを着ている身としては、晴れてほしいですが(笑)。でも、それもまた趣ですよね。

松岡茉優が語る、東京国際映画祭の楽しみ方!

松岡茉優

Q:アンバサダーに就任してみて、どのように活躍したいと思っていますか。

前回、レッドカーペットを歩いている時に、色々なメディアの方が声を掛けてくださいました。あとお客さんもたくさん話しかけてくださいましたが、やはり応えきれないというか。自分も初めての場所でドキドキしていて、足も震えていたんです。昨年は、コンペティション部門での参加ということで、カーペットを歩くのは最後の方だったのですが、今年は初めの方だと思うので、「こんなに楽しい場所なんだよ」ということを、東京国際映画祭に来られなかった方にも伝わるように、頑張りたいなと思っています。

Q:女優さんのお仕事は撮影現場でお芝居をすることがメインですから、あんな風に観客の皆さんとお話しすることもなかなかないですよね。

そうですね。ぜひ遊びに来てもらって『万引き家族』や『勝手にふるえてろ』の感想を聞きたいなと思っています。レッドカーペットでもたくさん声を掛けてもらいたいです。

Q:昨年、コンペティション以外に、特に印象に残っていることはありますか。

東京国際映画祭はいろんな企画が用意されていますが、昨年は、蒼井優さん、満島ひかりさん、『万引き家族』でご一緒した安藤サクラさん、そして事務所の先輩でもある宮崎あおいさんの4人にスポットを当てた日本映画のミューズという企画があったんです。わたしも多くの同世代が活躍しているといって頂いているので、30代になった時に、同じような企画を用意してもらえるような女優になれるだろうか。あそこにいられるような一人になりたいなと思いました。自分にとって目標になりました。

Q:今回、楽しみにしている作品はありますか?

わたしは今泉(力哉)監督が大好きなので、今回コンペティション部門に選ばれている『愛がなんだ』を見たいなと思っています。岸井ゆきのさんとのタッグがとても楽しみですね。会場の六本木ヒルズは、ご飯屋さんもどこもおいしいですし、洋服屋さんもどこもかわいいので、ショッピングやご飯を満喫しながら映画祭を楽しんでもらいたいです。

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