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『ジョーカー』監督、続編はホアキン・フェニックス次第「何でもやる」

アカデミー賞にも期待がかかるトッド・フィリップス監督
アカデミー賞にも期待がかかるトッド・フィリップス監督 - (C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics

 バットマンの宿敵として知られる狂気の犯罪者ジョーカーを主人公とした映画『ジョーカー』について、監督のトッド・フィリップスが日本の報道陣に向けたテレビ会見で語った。

【動画】オスカー確実?超問題作『ジョーカー』予告編

 本作は『ザ・マスター』(2012)などで過去3度のアカデミー賞ノミネート経験を持つ演技派ホアキン・フェニックスを主演に、コメディアンを夢見る男アーサー・フレックが、悪のカリスマへと変貌していくさまを追う衝撃作。先日行われた第76回ベネチア国際映画祭では、アメコミ映画として初めて、最高賞にあたる金獅子賞を獲得した。

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 『ハングオーバー』シリーズなどコメディー作品で知られるフィリップス監督。一見、意外な組み合わせにも思われるが「この映画で表現しようとしたことはホアキン(アーサー)が実際にセリフで言っている。『人生は悲劇だと思ってた。だが今わかった、僕の人生は喜劇だ』とね」と語る。「今までたくさんのコメディー映画を作り、面白い人たちと仕事をしてきたが、彼らから受け取ったのがアーサーの言葉だよ。この映画でも、それを少し探求したいと思った」とその思いを明かした。

 本作でフィリップス監督は、スコット・シルバーとともに脚本も担当。執筆時に影響を受けた作品として、原作コミックにもインスピレーションを与えたヴィクトル・ユーゴー原作の『笑ふ男』(1928)、そしてチャップリン作品を挙げた。「主人公のアーサーにはチャップリン的なところがある。チャップリンのように、体で表現するコメディー的な部分は特にそう。チャップリンはこの映画の中で大きな役割を果たしているんだ」

 本作の舞台となる1981年のゴッサム・シティでは、格差が広がり貧困者への支援は行き届かず、治安は悪化の一途をたどっている。この時代設定について監督は「今までの映画で観て来たジョーカーと、このジョーカーが共存する事は避けたかった。だから意図的にその話が起こる前の時代に設定した」と説明。さらに1970年代~80年代初頭に作られた名作のムードが、本作に合っていることも大きかった。「『タクシードライバー』『狼たちの午後』『キング・オブ・コメディ』といった映画が公開された時代の出来事として作りたかった。当時は、映画スタジオがキャラクター重視の作品を制作していた時代だったからね」。

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絶大な信頼関係を築いたトッド・フィリップス監督とホアキン・フェニックス(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics

 そんな本作には、『ハングオーバー』シリーズからの盟友ブラッドリー・クーパーがプロデューサーとして参加。俳優のみならず、監督としても高い評価を受けるブラッドリーは、本作でどのような役割を担ったのか。「脚本へのフィードバックもそうだし、編集室にも一緒に入ってくれた。僕にとってブラッドリーは、編集室においてかけがえのない存在なんだ。時には一日中、カットを観てメモを書いてくれる。これは(フィリップス監督がプロデューサーとしてついたブラッドリーの監督作)『アリー/スター誕生』の映画で僕がやったことと基本的には同じ。素晴らしいパートナーシップだ。最も信頼している親友であり、コラボレーターのひとりだね」。

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 これまでの歴代ジョーカーは、ジャック・ニコルソンヒース・レジャージャレッド・レトーなどのオスカー俳優たちが演じてきたが、本作のホアキンは、彼らジョーカーをさらなる高みに押し上げてた。フィリップス監督は、ホアキンの役づくりは「毎日が驚きの連続だった」と語る。「ホアキンのような俳優がどれほど役を素晴らしいものにしてくれるのか、それを数値で示す事はできないよ。見ている方は、ただ口をポカンと開けてしまう。(撮影中)カメラのオペレーターに向かって、『今見ていた? 信じられないよ!』と言っていたほどだ」。

 あまりの反響から全米公開を前に続編の話題が上がっている本作だが、フィリップス監督はことあるごとに「それは絶対にない」と否定し続けてきた。この映画は単独作品であり、DCユニバースとクロスオーバーすることもないと。だが、もしもホアキンが真剣にやりたいと言ったならば「実際に状況は変わる」と語る。「ホアキンと仕事ができるのであれば何でもやるよ。映画人生において最も素晴らしい経験をすることができたんだ。真剣に続編に関して話した事は一度もない。冗談で『続編はどうなる?』『可能性があるか?』という話をしたとしてもだ。けど、もし彼が本気で『もう一本作るべき』と言ったら話をしたいし、真剣に考える。なぜなら彼は本当に素晴らしいからだ」と全幅の信頼が伺えた。(取材・文:壬生智裕)

映画『ジョーカー』は10月4日より全国公開

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